「信の一念」の版間の差分
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| − | {{DotUL|'''信心の開け<kana>発(おこ)</kana>った最初の時のこと'''}} | + | {{DotUL|'''信心の開け<kana>発(おこ)</kana>った最初の時のこと'''、またその信心のすがたを示す語。}}親鸞は、『大経』[[第十八願成就文]]に「あらゆる衆生、その名号を聞きて、[[信心歓喜]]せんこと[[乃至一念]]せん」([[大経下#P--41|大経 P.41]])と説かれている「[[乃至一念]]」を[[信の一念]]を示す文と位置付けた。この一念に２種の解釈がある。<br /> |
① [[時剋]]の一念。阿弥陀仏の本願を聞いて疑いなく[[信受]]する信心の開け発った最初の時をいう。「信巻」に'''[[本願成就文]]'''の一念について、「一念とはこれ[[信楽開発の時剋の極促]]を顕し、広大難思の慶心を彰すなり」([[信巻末#P--250|信巻 P.250]]) とある。この[[極促]]について２種の解釈がある。一つは「延(のびる)」に対する「促(ちぢまる)」の意で、「ちぢまりきった極限」という意味である。『文類聚鈔』には「往生の[[心行]]を[[獲得]]する時節の<kana>延促(えんそく)</kana>について乃至一念といふなり」（[[浄文#P--480|浄文 P.480]]）とある。<br /> | ① [[時剋]]の一念。阿弥陀仏の本願を聞いて疑いなく[[信受]]する信心の開け発った最初の時をいう。「信巻」に'''[[本願成就文]]'''の一念について、「一念とはこれ[[信楽開発の時剋の極促]]を顕し、広大難思の慶心を彰すなり」([[信巻末#P--250|信巻 P.250]]) とある。この[[極促]]について２種の解釈がある。一つは「延(のびる)」に対する「促(ちぢまる)」の意で、「ちぢまりきった極限」という意味である。『文類聚鈔』には「往生の[[心行]]を[[獲得]]する時節の<kana>延促(えんそく)</kana>について乃至一念といふなり」（[[浄文#P--480|浄文 P.480]]）とある。<br /> | ||
もう一つは、「機有奢促者といふは、機に<kana>奢促(しゃ-そく)</kana>あり、奢はおそきこころなるものあり、促は疾きこころなるものあり」([[尊号真像銘文#P--668|尊号 P.668]]) とある。<br /> | もう一つは、「機有奢促者といふは、機に<kana>奢促(しゃ-そく)</kana>あり、奢はおそきこころなるものあり、促は疾きこころなるものあり」([[尊号真像銘文#P--668|尊号 P.668]]) とある。<br /> | ||
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*顕と彰：「時剋の極促を顕し」は経の文面に明らかにあられているので「顕」とされ「広大難思の慶心を彰す」は隠にあらわされているので「彰」とされている。→[[隠彰]] | *顕と彰：「時剋の極促を顕し」は経の文面に明らかにあられているので「顕」とされ「広大難思の慶心を彰す」は隠にあらわされているので「彰」とされている。→[[隠彰]] | ||
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2024年7月7日 (日) 10:54時点における版
しん-の-いちねん
→ 補註７ 信の一念・聞 (真要鈔 P.981)
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社
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信の一念
信心の開け
① 時剋の一念。阿弥陀仏の本願を聞いて疑いなく信受する信心の開け発った最初の時をいう。「信巻」に本願成就文の一念について、「一念とはこれ信楽開発の時剋の極促を顕し、広大難思の慶心を彰すなり」(信巻 P.250) とある。この極促について２種の解釈がある。一つは「延(のびる)」に対する「促(ちぢまる)」の意で、「ちぢまりきった極限」という意味である。『文類聚鈔』には「往生の心行を獲得する時節の
もう一つは、「機有奢促者といふは、機に
② 信相の一念。阿弥陀仏の救済を二心（疑心）なく信じることをいう。「信巻」には「一念といふは、信心二心なきがゆゑに一念といふ」(信巻 P.251)とある。（浄土真宗辞典）
- 顕と彰：「時剋の極促を顕し」は経の文面に明らかにあられているので「顕」とされ「広大難思の慶心を彰す」は隠にあらわされているので「彰」とされている。→隠彰
 補 註 |
|---|
| 阿弥陀仏 |
| 往生・真実証・浄土 |
| 機・衆生 |
| 具縛の凡愚・屠沽の下類 |
| 業・宿業 |
| 正定聚 |
| 信の一念・聞 |
| 真実教 |
| 旃陀羅 |
| 大行・真実行 |
| 大信・真実信 |
| 他力・本願力回向 |
| 同朋・同行 |
| 女人・根欠・五障三従 |
| 方便・隠顕 |
| 菩薩 |
| 本願 |
| →七祖 補註へ |
７ 信の一念・聞
親鸞聖人は『大経』(下 41）の第十八願成就文に、｢あらゆる衆生、その名号を聞きて信心歓喜せんこと、
このように、信の一念に衆生は必ず往生することができる身に定まるということによって、信心一つで往生が定まるという唯信正因の法義が確立する。そしてまた、救いはまったく如来の御はからいによって成就するのであって、衆生のはからいはまったくかかわらないという絶対他力のいわれがあきらかになる。
信の一念について、また「信巻」(末 251) には、｢一念といふは、信心二心なきがゆゑに一念といふ」とある。これを前の時剋の一念に対して信相の一念という。信相とは、信心のすがたという意味であり、阿弥陀仏の救済をふたごころなく疑いなく信ずることをまた一念というのである。
なお「信巻」(末 251) には、『大経』(下）の「聞其名号 (その名号を聞きて)」の「聞」を釈して、｢聞といふは、衆生、仏願の
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社
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