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立撮即行

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りっさつ-そくぎょう

 『観経』華座観を釈した『観経疏』にある語。さとりを円満した阿弥陀仏は一座無移(いちざむい)亦不動(やくふどう)(一たび坐して移ることなくまた不動なり)(法事讃 P.560) の仏陀である。しかし智慧のゆえに衆生の苦悩を見るに忍びないので、衆生の代表としての韋提希の苦悩を除く為にさとりの座から娑婆世界へ応現したのが『観経』華座観の教説であるとされた。

六賊常随 三悪火坑臨臨欲入。
六賊つねに随ひて、三悪の火坑臨々として入りなんと欲す。
若不挙足 以救迷 業繋之牢 何由得勉。
もし足を挙げてもつて迷ひを救はずは、業繋の牢なにによりてか勉(まぬか)るることを得ん。
為斯義故 立撮即行
この義のためのゆゑに、立ちながら撮(と)りてすなはち行く。
不及端坐以赴機也。
端坐してもつて機に赴くに及ばざるなり。(定善義 P.424)

これを立撮即行(立ちながら撮りてすなはち行く)とされた。和語の「」にはつまむといういう意があり、「立撮即行」を昔の布教使は「立ってつまんでとりていく」としていた。