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御文章 (二帖)

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 ほとけは悪人をすて給はねども、このみて悪をつくる事、これ仏の弟子にはあらず、一切の仏法に悪を制せずといふ事なし。  悪を制するに、かならずしもこれをとゞめえざるものは、念仏してその罪を滅せよとすゝめたる也。 ……たとへば人のおやの、一切の子をかなしむに、そのなかによき子もあり、あしき子もあり。 ともに慈悲をなすとはいへども、悪を行ずる子をば、目をいからし、杖をさゝげて、いましむるがごとし。

仏の慈悲のあまねき事をきゝては、つみをつくれとおぼしめすといふさとりをなさば、仏の慈悲にももれぬべし。 悪人までもすて給はぬ本願としらんにつけても、いよいよほとけの知見をばはづべし、かなしむべし。 父母の慈悲あればとて、父母のまへにて悪を行ぜんにその父母よろこぶべしや。 なげきながらすてず、あはれみながらにくむ也。ほとけも又もてかくのごとし。 『和語燈録』巻四 『真宗聖教全書』四p641