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てん

 天の神々の世界。 天上、天界、天道などともいう。 六道の一。 また神々のことも天という。 →六道 (ろくどう)。

出典(教学伝道研究センター編『浄土真宗聖典(注釈版)第二版』本願寺出版社
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社

区切り線以下の文章は各投稿者の意見であり本願寺派の見解ではありません。

◆ 参照読み込み (transclusion) jds:天

てん/天

神、あるいは神の住む世界のこと。Ⓢdeva。提婆だいばなどと音写される。また天人天部といえば個々の神やその集合を意味し、天趣や天上といえば神の住む世界を意味する。天人五衰といわれるように仏教における天、すなわち神は絶対的な存在ではなく、輪廻世界の中に存在するものである。それゆえ神は死ぬこともあり、また輪廻して地獄餓鬼に生まれ変わることもある。また神の住む世界としての天は、輪廻世界である六道(あるいは五道)の一つであり、人間の世界とともに善趣と呼ばれ、善行によって生まれ変わることのできるところである。須弥山を中心とする仏教世界観では、天は須弥山の上方にあるものとされ、また欲界色界無色界三界のすべてに存在し、さらに色界無色界は天のみによって構成される世界である。天の種類や関係については経論によって異なる(ここでは『俱舎論世間品に基づいて、三界と天の関係を以下に図示する)。欲界には六欲天があり、この中の四大王衆天と三十三天は須弥山に住む神々であり、地居じご天と呼ばれる。この二天のうち四大王衆天は須弥山の中腹に住み、三十三天はその頂上に住む。夜摩天から色界の色究竟天までは、須弥山の上の空中に住む神であり、空居天と呼ばれる。無色界の四つの天は肉体を持たず、それ故どこか特定の場所に住む神ではないと考えられている。しかし天の位は欲界色界無色界の順で高くなっており、例えば天の寿命の長さは、基本的に四大王衆天から非想非非想処天に至るまで増加する。このことから、無色界天は住処がないとはいえ、天の中ではやはり最高の存在と考えられているといえよう。このような無色界天と色界天とは、禅定体験と深く結びつき、禅定によって天に生まれることができるとされる。またさらに重要なことは、色界無色界の諸天が禅定の段階を意味し、色界初禅から無色界の非想非非想処までが、段階的な禅定の深まりと対応していることである。これは仏教における天が、ただ客観的世界の一部として説かれたものではなく、内的な自身の心のあり方と外的な世界とを関係付けて説かれたものであることを示すものである。


【資料】櫻部建・上山春平『存在の分析〈アビダルマ〉』(角川書店、一九六九)


【参照項目】➡有頂天兜率天六欲天須弥山三界


【執筆者:石田一裕】


無色界 4 非想非非想処
3 無所有
2 識無辺処
1 空無辺処
色界 第四禅 16 色究竟天
15 善見天
14 善現天
13 無熱天
12 無煩天
11 広果天
10 生天
第三禅 9 無雲天
8 遍浄天
7 無量浄天
第二禅 6 少浄天
5 極光浄天
4 無量光
初禅 3 少光天
2 梵天
1 梵衆天
欲界 六欲天 6 他化自在天
5 変化
4 覩史多天
3 夜摩天
2 三十三天
1 四大王衆天