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と、仰せ候ひき

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と、おおせそうらいき

 (法然聖人が仰った)と親鸞聖人がおっしゃった。(歎異抄 P.834) 


 『歎異抄』の、一条から九条まで語尾に「云云(うんぬん)」とある。云云とは、引用した文や語句のあとを省略するときに、以下略の意で、その末尾に添える語であるが三条にはこの語がない。このことから三条の「善人なほもつて往生をとぐ、いはんや悪人をや」の法語は、法然聖人がおっしゃった、と御開山がおっしゃったというので「と、おおせそうらいき」とされた。
大正6年に醍醐寺三宝院で発見された『法然上人伝記』、通称、醍醐本の「三心料簡事および御法語」には漢文で、

善人尚以往生 況悪人乎事《口伝有之》 →(三心料簡および御法語)

とあり、三条の冒頭の「善人なほもつて往生をとぐ、いはんや悪人をや」と同一の法語がある。いわゆる悪人正機説は法然聖人が淵源であった。
ただし、このような過激な表現は誤解されやすいので、法然聖人は信頼できる弟子だけに「口伝」として述べられたのであろう。唯円は、御開山からお聞きしたことを文字にしたのであろう。
蓮如さんが、あとがきで、

右この聖教は、当流大事の聖教となすなり。無宿善の機においては、左右なく、これを許すべからざるものなり。

と記述されたのは、その意であった。

悪人正機