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「歎異抄」

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たんにしょう 歎異抄

 1巻。著者について諸説あるが、本文中にその名が見られる唯円とする説が有力である。
 主に関東の親鸞門弟の間に真実の信心と異なる誤った考えが生じたことを歎き、親鸞から口伝を受けた著者が同じ念仏の道を歩む人の不審を除くために著したもの。異端を弾劾する冷ややかな批判ではなく、真実の信心を見失っていく人々への深い悲しみが述べられている。
 まず巻頭に、撰述の意図を示した漢文の序があり、続く本文は、直接親鸞から聞いた法語を収録した前半の10条と、さまざまな誤った考えを挙げて著者自身の歎異を述べる後半の8条とに分かれ、最後に、親鸞の法語を回顧しながら、あらためて悲嘆のおもいを述べている。このうち第10条は、その後半に誤った考えの生じたことを歎く文があり、第11条以下の序の体裁をとっているとも見られる。
 本書は親鸞の滅後、20年余りの頃に著されたものと推定されている。本願寺派本願寺蔵蓮如書写本が現存最古の本で、これには承元の法難のときの流罪記録の文と蓮如の奥書がある。(浄土真宗辞典)