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五味

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ごみ

 牛・山羊の乳のもつ五種の味。 時がたつと乳の味が変化して深まるところからいう。 『涅槃経』では、牛乳を精製するときに経る、乳味(にゅう-み)酪味(らく-み)生酥味(しょうそ-み)熟酥味(じゅくそ-み)醍醐味(だいご-み)の五つをいい、天台宗ではこれを仏一代の五時に配当し、教判 (経典の価値判断) として用いる。 すなわち、乳味は華厳時、酪味は阿含経を説いた鹿苑時、生酥味は大乗経を説いた方等時、熟酥味は般若時、醍醐味は法華涅槃時とする。

出典(教学伝道研究センター編『浄土真宗聖典(注釈版)第二版』本願寺出版社
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社

区切り線以下の文章は各投稿者の意見であり本願寺派の見解ではありません。

五時の教
乳・酪・生蘇・熟蘇・醍醐

◆ 参照読み込み (transclusion) ノート:五時の教

五時八教判

五時八教判とは、天台宗の教相判釈(きょうそうはんじゃく)(諸経典を説法の形式、方法、内容などにより分類、整理して体系づけること)。五時と八教の併称。五時は、すべての経典を釈尊が一生の間に順に説いたものと考え、その順序に5段階をたてたもので、以下の五つをいう。

  1.  華厳時(けごんじ) 悟りを開いてただちに21日間、悟りの境地のままに『華厳経(けごんきょう)』を説いた。
  2.  鹿苑時(ろくおんじ) 次の12年間は鹿野苑で『阿含経(あごんきょう)』を説いて小乗の機根(教えを聞いて修行しうる能力)の者を誘引した。→鹿野苑
  3.  方等時(ほうどうじ) それに続く8年間は小乗を批判して大乗に引き入れるために『維摩経(ゆいまぎょう)』などを説いた。→方等
  4.  般若時(はんにゃじ) 次の22年間は大小乗の執着を捨てさせるために『般若経』を説いた。
  5.  法華・涅槃時(ほっけ-ねはんじ) 晩年の8年間は『法華経』の一乗真実の教えを説き、最後の一日一夜、『涅槃経』によってこれまで漏れていた者もすべて救ったとする。[1]
八教

八教は、化儀四教(けぎのしきょう)と化法四教(けほうのしきょう)の総称である。化儀四教は、説法の仕方によって四種をたてたもので、次のように分けられる。

  1.  頓教(とんぎょう) 真理をそのまま説いたもの。
  2.  漸教(ぜんきょう) 衆生の機根によって段階的に説いたもの。[2]
  3.  秘密教 同じ教えでも機根によってそれぞれ異なった利益を受け、しかも互いにそれを知らないもの。同じ説法の座にいながら、自分一人だけが聞いていると思わせて説く、仏の教え。真言密教の意ではない。
  4.  不定(ふじょう)教 秘密教と同じであるが他人の存在を知っているもの。

 また化法四教は、教説の内容によって四種をたてたものである。

  1.  蔵教(ぞうきょう) 小乗の教え。 経・律・論の三蔵に説かれた教法であるから蔵教といふ。
  2.  通教(つうぎょう) 大乗、小乗に通ずる教え。
  3.  別教(べっきょう) 大乗のみを説いた教え。
  4.  円教(えんきょう) すべてを包摂する円満な教え。

五時八教は、中国南北朝時代の諸種の教判を受け、全仏教をもっとも総合的に体系化し、価値配列したものであり、後世に大きな影響を残した。[末木文美士]*出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)

  • 後代の教判の教判といわれる、賢首大師法蔵の「華厳教の五教十宗判」は、仏教教理史とあまり齟齬も無く仏教発展史を理解する上で助けになるものである。

  1. 現代の仏教教理史上ではこの五時説は否定されている。ただし経典の内容によって釈尊の説法を五時に区分する判断は卓見である。
  2. 漸頓は頓(即時)に仏果を得るという意と漸次に仏果を得るという意味で使われる場合もあり、御開山の場合は頓に仏果を得る教えを頓教といわれていた。