善恵房
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ぜんえぼう
(1177-1247)法然上人の門弟、
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社
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しょうくう 証空 (1177-1247)
善恵房証空のこと。法然の門弟。浄土宗西山(せいざん)派の派祖。14歳で出家し法然の門に入った。法然が『選択集』を撰述するにあたり勘文の役を務め、また 「七箇条起請文」 の4番目に署名するなど法然門下の重要な地位にあった。『口伝鈔』第14条(註 896)によれば、体失往生・不体失往生について親鸞と議論し、法然の裁定を仰いだという。承元の法難・嘉禄の法難に連座したが、とりなしがあり免れた。建保元年 (1213) から西山善峰寺の往生院 (
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- →証空
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しょうくう/証空
治承元年(一一七七)一一月九日—宝治元年(一二四七)一一月二六日。浄土宗西山派の派祖。善慧房。鑑知国師。治承元年、加賀権守源親季の長男として誕生、九歳の春、内大臣久我通親の養子となる。建久元年(一一九〇)一四歳のとき法然の弟子となり、以後二三年間、師法然の浄土教学を学ぶ。すなわち、法然より善導『観経疏』とその専修念仏、智顗『菩薩戒義記』とその円頓戒の両方を相伝したと伝える。入室時代の証空は小坂(祇園の西南)に住し、法然の住房(吉水の庵室)との間を往復する。法然門下における証空の地位は、信空を除けば、きわめて高かった。すなわち、①法然の祐筆の役を荷う(興善寺蔵正行房宛証空書状)、②法然が『選択集』撰述時、執筆の役(第三筆)および勘文の役を荷う、③『七箇条制誡』では法然門弟中、第四番目に署名、④『没後遺誡文』では七名の内弟子中、信空・感西に次いで三番目に列記されている、などが注目される。法然入滅の翌年、建保元年(一二一三)慈円の譲りを受けて、西山善峰寺の北尾往生院(現・三鈷寺)に移住。法然の晩年(建永の法難以前か)以降、師の指示により河内の磯長の永福寺の願蓮について天台学の研鑽を開始し、法然滅後には台密を政春・慈円・公円等に学び、天台思想を浄土教学に援用する。同三年より一二年間善導の五部九巻の講述を続ける(『自筆鈔』)。『自筆鈔』講述後の寛喜元年(一二二九)、証空は大和の當麻寺に参詣し、所蔵される当麻曼陀羅が善導の『観経疏』にもとづく浄土変相図であることを発見し、以後その流伝に努める。後世、事相部の典籍『当麻曼荼羅註記』一〇巻成立の縁由となる。仁治四年(一二四三)西山往生院において高弟一〇名とともに『菩薩戒経』『法華経』『無量寿経』『観経』『阿弥陀経』『観経疏』玄義分の六部七巻を頓写し、証空真筆の「四戒相承の文」一紙他とともに阿弥陀立像の胎内に納めた(京都府乙訓郡大山崎町大念寺所蔵の来迎仏胎内文書)。さらに翌年、現在の兵庫県西宮市塩瀬町生瀬にある浄橋寺に梵鐘を鋳造し、そこに『菩薩戒経』、『涅槃経』、『観経疏』玄義分、「四誓偈」、『阿弥陀経』(光明無量の文)、『阿弥陀経』(十劫成仏の文)、『無量寿経』(威神光明の文)、『無量寿経』(三途勤苦の文)、『観経』(光明遍照の文)等の九文を刻している。この四戒相承の文と梵鐘刻文とは最晩年の証空教学の仏道体系を如実に顕している。そして、ついに宝治元年一一月二六日正午、洛南白川の遣迎院にて七一歳で没した。後に西山往生院華台廟(観念三昧院)に移葬された。
証空の著作をその思想史的見地から区分すると次の三期に区分できる。(一)前期〈特殊名目「行門・観門・弘願」を依用する時期。①『要文之抜書』成立年時不明、②興善寺蔵証空書状 三〇歳前後、③清凉寺蔵証空書状 三五歳以前、④『女院御書』下巻 四三歳~四七歳、⑤『自筆鈔』 三九歳~五一歳、⑥『観経疏大意』 ⑤と同時期か〉(二)中・後期〈特殊名目「顕行・示観、正因・正行、示観・顕行に反る」等を依用する時期。⑦『観経疏他筆鈔』 五二歳~六八歳、⑧『積学鈔』 五三歳~七一歳、⑨津戸三郎への返事 五八歳、⑩『女院御書』上巻 六六歳〉(三)晩年〈特殊名目「能請・所請、能説・所説、能為・所為」を依用する時期。⑪『四戒相承の文』(大念寺来迎仏胎内文書) 六七歳、⑫浄橋寺梵鐘銘文 六八歳、⑬九条入道将軍への返状 七〇歳、 ⑭『定散料簡義』 七一歳、⑮『鎮勧用心』 七一歳、⑯『述誠』 晩年、⑰『三縁事』 晩年〉。このうち、『観経疏他筆鈔』には筆録者証入の付加や流布書写上の付加が想定されている。この他、事相部の典籍として『観経秘決集』二〇巻、『当麻曼荼羅註記』一〇巻、『選択密要決』五巻、『四十八願要釈鈔』二巻、『修業要決』一巻、『当麻曼陀羅供式』一巻、『当麻曼陀羅八講論義鈔』一巻等が証空撰として伝えられているが疑わしい。
【参考】森英純『白木の聖者 西山上人』(西山浄土宗宗務所、一九七三)、上田良凖・大橋俊雄『証空 一遍』(『浄土仏教の思想』一一、講談社、一九九二)、中西随功『証空浄土教の研究』(法蔵館、二〇〇九)、廣川堯敏『鎌倉浄土教の研究』(文化書院、二〇一四)
【執筆者:廣川堯敏】