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(林遊@なんまんだぶつ)
 
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昔はどこにでも、お念仏を称えなんまんだぶつを喜んだ人がいたものである。
 
昔はどこにでも、お念仏を称えなんまんだぶつを喜んだ人がいたものである。
  

2023年8月29日 (火) 20:30時点における最新版

もし念仏するものは、これ人中の分陀利華なり。

うちの婆ちゃん八十五。
少し痴呆が始まって、何でもすぐに忘れます。
なんまんだぶつも忘れがち。

息子はすぐに怒鳴ります。
「こらっ、なんまんだぶつせんかい」

婆ちゃん念仏称えます。
「ようよう言うてくれたのお。お前だけじゃこんなこと、
言うてくれるは有り難い」

惚けて念仏忘れたら、叱りつけても念仏を、させてくれとの頼みです。
今日の日にちも分かりません。
亡くした子供の命日も、五人も亡くした悲しみも、
みんな忘れてお念仏。

町から田舎に嫁に来て、牛馬の如くはたらいて、
田舎の暮らしになじめない、つきあい下手の婆ちゃんに、
おやさま一緒にお念仏。
有り難かろうが無かろうが、わけはおやさまご存じの
損と得とをいっぺんに、なんまんだぶつと、ただもらい。

それでも時々思います。
「はぁ、もっと惚けんうちに、はよ死にてえなぁ」
爺ちゃんすぐに叱ります。
「おやさまのいのちやさけ、どうにもならんこっちゃ」
愚痴をいってはお念仏。
ため息ついての称名に、なんまんだぶつのおやさまが、
今日も婆ちゃんと一緒です。

聞いて聴いて聴き抜いて、何十年も聴きました。
聴いた聴聞みな忘れ、覚えた理屈もどこへやら。
それでも朝晩お勤めは、欠かしたことがありません。

きぃみょうむぅりょおじゅにょおらい。
たとえお仏飯忘れても
あーなかしこ、あなかしこ。
七高僧に御開山、蓮如さんも一緒です。

信じることも、知ることも、みんな忘れて
残るのは、なんまんだぶつのおやさまの
とぎれとぎれのお念仏。

なぁ、みんな忘れていいんやざ。
惚けて死のうが狂おうが
惚けたまんまがおやさまの
狂うたまんまがおやさまの
間違わさんの念仏が、今日も婆ちゃんと一緒です。

なんまんだぶつの船に乗り、
なんまんだぶつの帆を揚げて
なんまんだぶつの風うけて、

なんまんだぶつのおやさまの、
お浄土へ往く船の上。


教聞院 釈貞保

昔はどこにでも、お念仏を称えなんまんだぶつを喜んだ人がいたものである。

今ははや西方仏国の住人になってしまったが、小生の母親もそのような中の一人だった。まわりから「後生願い」と揶揄されながらも遠近を問わず聴聞に出かけ御法義をよろこんだものである。

観仏を勧める観無量寿経の結語には『もし念仏するものは、まさに知るべし、この人はこれ人中の分陀利華なり』とある。なんと、無量寿仏(なんまんだぶつ)を口称する者を仏様がほめて下さるというのである。

善導大師はこの「分陀利華」を、分かりやすく「もし念仏するものは、すなはちこれ人中の好人なり、人中の妙好人なり、人中の上上人なり、人中の希有人なり、人中の最勝人(観経疏)と仰って下さっている。 才市さんや田原のお園同行だけが妙好人ではないのである。ろくなものが出入りしない自らの口からおねんぶつを称えることが妙好人なのである。

「母ちゃん惚けてお念仏忘れたら、怒りまくってでもお念仏さしてくれなぁ。おや様のご恩報謝のお念仏やさけ、オメちゃんと忘れんと母ちゃんにお念仏さしてくれなぁ」、と常に言っていた母であった。

念々称名即嘆仏、念々称名即懺悔。仏様の功徳は仏様しか讃嘆する事ができないが、一声一声のお念仏が、仏様をほめたてまつることになるとなり、煩憂悩乱に明け暮れる慚愧になるとなり、とは何とも有り難いことである。

「葬式や法事のお斎に金を掛けるより、一人でもたくさんの方がお念仏を喜んで下さるようにしてくれ」、という母の願いでこのサイト群は出来ています。

なんまんだぶ、なんまんだぶ・・・称名相続


釈 林遊 林遊@なんまんだぶつ


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