「菩薩」の版間の差分
提供: WikiArc
21行目: | 21行目: | ||
菩薩は仏と成るには、 | 菩薩は仏と成るには、 | ||
− | + | :第一[[阿僧祇]]劫(十住・十行・十回向)、第二阿僧祇劫(初地~七地)、第三阿僧祇劫(八地~十地)を経過する発心と修行とさとりを要するという。 | |
− | + | そして、さらに百劫の間、相好を感得するための福業を修め、等覚位で元品の無明を断じて成仏(妙覚位)するという。 | |
− | + | ||
− | + | ||
---- | ---- | ||
2018年12月21日 (金) 10:25時点における版
ぼさつ
梵語ボーディサットヴァ(bodhisattva)の音写。
- 菩薩
ここでは浄土の菩薩のこと。 (浄土論 P.37)
往生浄土を願う行者のこと。 以下に出る菩薩の語はいずれもこの意。 (浄土論 P.39)
底本 (青蓮院本) には 「菩提」 とある。 (要集 P.962)
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社
区切り線以下の文章は各投稿者の意見であり本願寺派の見解ではありません。
- 五十二位説の階位
菩薩は仏と成るには、
- 第一阿僧祇劫(十住・十行・十回向)、第二阿僧祇劫(初地~七地)、第三阿僧祇劫(八地~十地)を経過する発心と修行とさとりを要するという。
そして、さらに百劫の間、相好を感得するための福業を修め、等覚位で元品の無明を断じて成仏(妙覚位)するという。
- 新纂浄土宗大辞典から転送
ぼさつのかいい/菩薩の階位
大乗の菩薩が菩提心を発してから仏道修行を積み、仏果を獲得するまでの階位。諸経論によって階位の数や名称、開合の仕方が異なり、思想史的な発展も認められる。中国仏教において一般的に用いられるのは『菩薩瓔珞本業経』に説かれる十信・十住(習種性)・十行(性種性)・十回向(道種性)・十地(聖種性)・等覚(等覚性)・妙覚(妙覚性)であり、十信以下を外凡、十住以上を内凡とし、十住・十行・十回向を三賢、十地を十聖とよび、あわせて三賢十聖という。階位の詳目を示せば、十信位とは①信心②念心③精進心④慧心⑤定心⑥不退心⑦回向心⑧護心⑨戒心⑩願心、十住位とは①発心住②治地住③修行住④生貴住⑤方便住⑥正心住⑦不退住⑧童真住⑨法王子住⑩灌頂住、十行位とは①歓喜行②饒益行③無瞋恨行④無尽行⑤離痴行⑥善現行⑦無著行⑧尊重行⑨善法行⑩真実行、十回向位とは①救護一切衆生離相回向心②不壊回向心③等一切仏回向心④至一切処回向心⑤無尽功徳蔵回向心⑥随順平等善根回向心⑦随順等観一切衆生回向心⑧如相回向心⑨無縛解脱回向心⑩法界無量回向心、十地とは①四無量心(歓喜地)②十善心(離垢地)③明光心(発光地)④焰慧心(烙慧地)⑤大勝心(難勝地)⑥現前心(現前地)⑦無生心(遠行地)⑧不思議心(不動地)⑨慧光心(善慧地)⑩受位心(法雲地)であり、さらに等覚(入法界心)、妙覚(寂滅心)となる。 『華厳経』は十住・十行・十回向・十地・仏地の四十一位、『梵網経』は十発趣・十長養・十金剛・十地の四〇位、『仁王般若経』は十善・十信・十止・十堅・十地・仏地の五十一位、『首楞厳経』は乾慧地・十信・十住・十行・十回向・四善根位・十地・等覚・妙覚の五十七位、『摂大乗論』は願楽行地・見道・修道・究竟道の四位、『成唯識論』等は資糧位・加行位・通達位・修習位・究竟位の五位、『菩薩地持経』は種性住・解行住・歓喜住・増上戒住・増上意住・菩提分法相応増上慧住・諦相応増上慧住・縁起相応増上慧住・有行有開発無相住・無行無開発無相住・無礙住・最上菩薩住・如来住の十三住、および修性地・解行地・浄心地・行迹地・決定地・決定行地・畢竟地の七地を説く。また、学派・宗派ごとに採用する階位説が異なっており、法相唯識では四善根位を組み込んだ四十一位をとり、華厳宗では小乗の位および大乗の五十一位を小乗教・大乗始教・大乗終教・頓教・円教の五時教と複雑に相関させながら説き、天台宗では五十二位を別教の位として、円教では理即・名字即・観行即・相似即・分証即・究竟即という六即を用いている。『無量寿経』『往生論』は階位を明記しないものの大乗菩薩道が思想的な主軸となっており、また中国浄土教では浄影寺慧遠などによって『観経』九品の各位に大乗・小乗の階位を相当させ、願生者の往生前後の階位について多くの議論がなされた。法然以後の浄土教では浄土門あるいは易行道の立場から、一切衆生が凡夫であることを主張するために、菩薩の階位に関する積極的な議論はあまり行われていない。ただし、聖冏は『頌義』に菩薩義・初分教義・後分教義・性頓義・相頓義などの項目を立て、随他扶宗の立場から、菩薩の階位について詳論している(浄全一二・五三上~一三二上)。
【参考】水野弘元「五十二位等の菩薩階位説」(『仏教学』一八、一九八四)、佐藤哲英『天台大師の研究』(百華苑、一九六一)
【執筆者:工藤量導】