「顕浄土真実教行証文類 (序)」の版間の差分
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{{Kaisetu| 親鸞聖人の主著。『教行信証』『教行証文類』『広文類』『本典』などとも称され、浄土真宗の教義体系が示されている。すなわち本願力回向を往相回向・還相回向の二つに分け、往相すなわち衆生が浄土に往生しさとりに至る教えを教・行・信・証の四法として明かされたものであり、浄土真宗における立教開宗の根本聖典である。はじめに総序があり、続いて教・行・信・証・真仏土・化身土の六巻に分けて詳細に宗義が明かされ、終りに後序がある。<br /> | {{Kaisetu| 親鸞聖人の主著。『教行信証』『教行証文類』『広文類』『本典』などとも称され、浄土真宗の教義体系が示されている。すなわち本願力回向を往相回向・還相回向の二つに分け、往相すなわち衆生が浄土に往生しさとりに至る教えを教・行・信・証の四法として明かされたものであり、浄土真宗における立教開宗の根本聖典である。はじめに総序があり、続いて教・行・信・証・真仏土・化身土の六巻に分けて詳細に宗義が明かされ、終りに後序がある。<br /> | ||
まず教とは『無量寿経』であり、そこには釈尊が世に出られた本意である本願名号の教えが説かれている。その教えの内容は行信証という衆生の往生のありさまである。行とは本願の名号であり、衆生の闇を破り、往生成仏させる如来選択の行である。信とはこの行を疑いなく受け入れた信心であり、この信は仏の大智大悲の心にほかならず、衆生を往生成仏させる因となる。これを信心正因という。証とは如来回向の行信の因が、果すなわち弥陀同体のさとりとしてあらわれることであり、そのはたらきとして衆生を救う還相が展開する。このようなさとりの境界が真仏土(真仏・真土)である。それは光明無量・寿命無量の境界であって、往相・還相の二回向の源でもある。続いて化身土(化身・化土)を示すことにより、前五巻において示された浄土真実の教えに対して、方便・邪偽の教えを明確にし、人々が道を誤らないように注意を促されている。}} | まず教とは『無量寿経』であり、そこには釈尊が世に出られた本意である本願名号の教えが説かれている。その教えの内容は行信証という衆生の往生のありさまである。行とは本願の名号であり、衆生の闇を破り、往生成仏させる如来選択の行である。信とはこの行を疑いなく受け入れた信心であり、この信は仏の大智大悲の心にほかならず、衆生を往生成仏させる因となる。これを信心正因という。証とは如来回向の行信の因が、果すなわち弥陀同体のさとりとしてあらわれることであり、そのはたらきとして衆生を救う還相が展開する。このようなさとりの境界が真仏土(真仏・真土)である。それは光明無量・寿命無量の境界であって、往相・還相の二回向の源でもある。続いて化身土(化身・化土)を示すことにより、前五巻において示された浄土真実の教えに対して、方便・邪偽の教えを明確にし、人々が道を誤らないように注意を促されている。}} | ||
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2020年10月21日 (水) 02:14時点における最新版
まず教とは『無量寿経』であり、そこには釈尊が世に出られた本意である本願名号の教えが説かれている。その教えの内容は行信証という衆生の往生のありさまである。行とは本願の名号であり、衆生の闇を破り、往生成仏させる如来選択の行である。信とはこの行を疑いなく受け入れた信心であり、この信は仏の大智大悲の心にほかならず、衆生を往生成仏させる因となる。これを信心正因という。証とは如来回向の行信の因が、果すなわち弥陀同体のさとりとしてあらわれることであり、そのはたらきとして衆生を救う還相が展開する。このようなさとりの境界が真仏土(真仏・真土)である。それは光明無量・寿命無量の境界であって、往相・還相の二回向の源でもある。続いて化身土(化身・化土)を示すことにより、前五巻において示された浄土真実の教えに対して、方便・邪偽の教えを明確にし、人々が道を誤らないように注意を促されている。
顕浄土真実教行証文類 序
法義を讃嘆する
【1】「隠/顕」
窃以 難思弘誓 度難度海大船 無礙光明 破無明闇恵日。
然則 浄邦縁熟 調達闍世 興逆害。
浄業機彰 釈迦韋提 選安養。
斯乃権化仁 斉救済苦悩群萌 世雄悲 正欲恵逆謗闡提。
故知 円融至徳嘉号 転悪成徳正智 難信金剛信楽 除疑獲証真理也。
爾者 凡小易修真教 愚鈍易往捷径。
大聖一代教 無如是之徳海。
捨穢忻浄 迷行惑信 心昏識寡 悪重障多 特仰如来発遣 必帰最勝直道 専奉斯行 唯崇斯信。
噫弘誓強縁 多生叵値 真実浄信 億劫叵獲。
遇獲行信 遠慶宿縁。
若也 此廻 覆蔽疑網 更復逕歴曠劫。
誠哉摂取不捨真言 超世希有正法 聞思莫遅慮。
爰愚禿釈親鸞 慶哉 西蕃・月支聖典 東夏・日域師釈 難遇 今得遇 難聞已得聞。
敬信 真宗 教行証 特知如来恩徳深。斯以慶所聞 嘆所獲矣。
ひそかにおもんみれば、難思の弘誓は難度海を度する大船、無碍の光明は無明の闇を破する恵日なり。しかればすなはち浄邦縁熟して、調達(提婆達多)、闍世(阿闍世)をして逆害を興ぜしむ。浄業機彰れて、釈迦、韋提をして安養を選ばしめたまへり。これすなはち権化の仁、斉しく苦悩の群萌を救済し、世雄の悲、まさしく逆謗闡提を恵まんと欲す。
ゆゑに知んぬ、円融至徳の嘉号は悪を転じて徳を成す正智、難信金剛の信楽は疑を除き証を獲しむる真理なりと。
しかれば凡小修し易き真教、愚鈍往き易き捷径なり。大聖一代の教、この徳海にしくなし。
有縁を勧誡する
穢を捨て浄を欣ひ、行に迷ひ信に惑ひ、心昏く識寡く、悪重く障多きもの、ことに如来(釈尊)の発遣を仰ぎ、かならず最勝の直道に帰して、もつぱらこの行に奉へ、ただこの信を崇めよ。
ああ、弘誓の強縁、多生にも値ひがたく、真実の浄信、億劫にも獲がたし。
たまたま行信を獲ば、遠く宿縁を慶べ。もしまたこのたび疑網に覆蔽せられば、かへつてまた曠劫を経歴せん。誠なるかな、摂取不捨の真言、超世希有の正法聞思して遅慮することなかれ。
造書の意を述べる
ここに愚禿釈の親鸞、慶ばしいかな、西蕃・月支の聖典、東夏・日域の師釈に、遇ひがたくしていま遇ふことを得たり、聞きがたくしてすでに聞くことを得たり。真宗の教行証を敬信して、ことに如来の恩徳の深きことを知んぬ。ここをもつて聞くところを慶び、獲るところを嘆ずるなりと。
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社
区切り線以下の文章は各投稿者の意見であり本願寺派の見解ではありません。