「讃阿弥陀仏偈と浄土和讃」の版間の差分
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2011年7月28日 (木) 23:01時点における版
讃阿弥陀仏偈
曇鸞法師作
仏荘厳
南無阿弥陀仏{釈名無量寿傍経奉讃亦曰安養}
現在西方去此界 十万億刹安楽土
仏世尊号阿弥陀 我願往生帰命礼
成仏已来歴十劫 寿命方将無有量
法身光輪遍法界 照世盲冥故頂礼
(3)
弥陀成仏のこのかたは
いまに十劫をへたまへり
法身の光輪きはもなく
世の盲冥をてらすなり
智恵光明不可量 故仏又号無量光
有量諸相蒙光暁 是故稽首真実明
(4)
智慧の光明はかりなし
有量の諸相ことごとく
光暁かぶらぬものはなし
真実明に帰命せよ
解脱光輪無限斉 故仏又号無辺光
蒙光触者離有無 是故稽首平等覚
(5)
解脱の光輪きはもなし
光触かぶるものはみな
有無をはなるとのべたまふ
平等覚に帰命せよ
光雲無礙如虚空 故仏又号無礙光
一切有礙蒙光沢 是故頂礼難思議
(6)
光雲無碍如虚空
一切の有碍にさはりなし
光沢かぶらぬものぞなき
難思議を帰命せよ
清浄光明無有対 故仏又号無対光
遇斯光者業繋除 是故稽首畢竟依
(7)
清浄光明ならびなし
遇斯光のゆゑなれば
一切の業繋ものぞこりぬ
畢竟依を帰命せよ
仏光照曜最第一 故仏又号光炎王
三塗黒闇蒙光啓 是故頂礼大応供
(8)
仏光照曜最第一
光炎王仏となづけたり
三塗の黒闇ひらくなり
大応供を帰命せよ
道光明朗色超絶 故仏又号清浄光
一蒙光照罪垢除 皆得解脱故頂礼
(9)
道光明朗超絶せり
清浄光仏とまうすなり
ひとたび光照かぶるもの
業垢をのぞき解脱をう
慈光遐被施安楽 故仏又号歓喜光
光所至処得法喜 稽首頂礼大安慰
(10)
慈光はるかにかぶらしめ
ひかりのいたるところには
法喜をうとぞのべたまふ
大安慰を帰命せよ
仏光能破無明闇 故仏又号智恵光
一切諸仏三乗衆 咸共歎誉故稽首
(11)
無明の闇を破するゆゑ
智慧光仏となづけたり
一切諸仏三乗衆
ともに嘆誉したまへり
光明一切時普照 故仏又号不断光
聞光力故心不断 皆得往生故頂礼
(12)
光明てらしてたえざれば
不断光仏となづけたり
聞光力のゆゑなれば
心不断にて往生す
其光除仏莫能測 故仏又号難思議
十方諸仏歎往生 称其功徳故稽首
(13)
仏光測量なきゆゑに
難思光仏となづけたり
諸仏は往生嘆じつつ
弥陀の功徳を称せしむ
神光離相不可名 故仏又号無称光
因光成仏光赫然 諸仏所歎故頂礼
(14)
神光の離相をとかざれば
無称光仏となづけたり
因光成仏のひかりをば
諸仏の嘆ずるところなり
光明照曜過日月 故仏号超日月光
釈迦仏歎尚不尽 故我稽首無等等
(15)
光明月日に勝過して
超日月光となづけたり
釈迦嘆じてなほつきず
無等等を帰命せよ
菩薩荘厳
阿弥陀仏初会衆 声聞菩薩数無量
神通巧妙不能算 是故稽首広大会
(16)
弥陀初会の聖衆は
算数のおよぶことぞなき
浄土をねがはんひとはみな
広大会を帰命せよ
安楽無量摩訶薩 咸当一生補仏処
除其本願大弘誓 普欲度脱諸衆生
斯等宝林功徳聚 一心合掌頭面礼
(17)
安楽無量の大菩薩
一生補処にいたるなり
普賢の徳に帰してこそ
穢国にかならず化するなれ
安楽国土諸声聞 皆光一尋若流星
菩薩光輪四千里 若秋満月映紫金
集仏法蔵為衆生 故我頂礼大心海
(18)
十方衆生のためにとて
如来の法蔵あつめてぞ
本願弘誓に帰せしむる
大心海を帰命せよ
又観世音大勢至 於諸聖衆最第一
慈光照曜大千界 侍仏左右顕神儀
度諸有縁不暫息 如大海潮不失時
如是大悲大勢至 一心稽首頭面礼
(19)
観音・勢至もろともに
慈光世界を照曜し
有縁を度してしばらくも
休息あることなかりけり
其有衆生生安楽 悉具三十有二相
智恵満足入深法 究暢道要無障礙
随根利鈍成就忍 三忍乃至不可説
宿命五通常自在 至仏不更雑悪趣
除生他方五濁世 示現同如大牟尼
生安楽国成大利 是故至心頭面礼
(20)
安楽浄土にいたるひと
五濁悪世にかへりては
釈迦牟尼仏のごとくにて
利益衆生はきはもなし
安楽菩薩承仏神 於一念頃詣十方
不可算数仏世界 恭敬供養諸如来
花香伎楽従念現 宝蓋幢幡随意出
珍奇絶世無能名 散花供養殊星宝
化成花蓋光晃耀 香気普薫莫不周
花蓋小者四百里 乃有遍覆一仏界
随其前後次化去 是諸菩薩僉欣悦
於虚空中奏天楽 雅讃徳頌揚仏恵
聴受経法供養已 未食之前騰虚還
神力自在不可測 故我頂礼無上道
(21)
神力自在なることは
測量すべきことぞなき
不思議の徳をあつめたり
無上尊を帰命せよ
安楽仏国諸菩薩 夫可宣説随智恵
於己万物亡我所 浄若蓮花不受塵
往来進止若汎舟 利安為務捨適莫
彼己猶空断二想 燃智恵炬照長夜
三明六通皆已足 菩薩万行貫心眼
如是功徳無辺量 是故至心頭面礼
安楽声聞菩薩衆 人天智恵咸洞達
身相荘厳無殊異 但順他方故列名
(22)
安楽声聞・菩薩衆
人・天智慧ほがらかに
身相荘厳みなおなじ
他方に順じて名をつらぬ
顔容端正無可比 精微妙躯非人天
虚無之身無極体 是故頂礼平等力
(23)
顔容端正たぐひなし
精微妙躯非人天
虚無之身無極体
平等力を帰命せよ
敢能得生安楽国 皆悉住於正定聚
邪定不定其国無 諸仏咸讃故頂礼
(24)
安楽国をねがふひと
正定聚にこそ住すなれ
邪定・不定聚くにになし
諸仏讃嘆したまへり
諸聞阿弥陀徳号 信心歓喜慶所聞
乃曁一念至心者 廻向願生皆得生
唯除五逆謗正法 故我頂礼願往生
(25)
十方諸有の衆生は
阿弥陀至徳の御名をきき
真実信心いたりなば
おほきに所聞を慶喜せん
(26)
若不生者のちかひゆゑ
信楽まことにときいたり
一念慶喜するひとは
往生かならずさだまりぬ
(49)
信心歓喜慶所聞
乃曁一念至心者
南無不可思議光仏
頭面に礼したてまつれ
安楽菩薩声聞輩 於此世界無比方
釈迦無礙大弁才 設諸仮令示少分
最賤乞人並帝王 帝王復比金輪王
如是展転至六天 次第相形皆如始
以天色像喩於彼 千万億倍非其類
皆是法蔵願力為 稽首頂礼大心力
天人一切有所須 無不称欲応念至
一宝二宝無量宝 随心化造受用具
堂宇飲食悉如此 故我稽首無称仏
(27)
安楽仏土の依正は
法蔵願力のなせるなり
天上天下にたぐひなし
大心力を帰命せよ
(28)
安楽国土の荘厳は
釈迦無碍のみことにて
とくともつきじとのべたまふ
無称仏を帰命せよ
諸往生者悉具足 清浄色身無可比
神通功徳及宮殿 服飾荘厳如六天
応器宝鉢自然至 百味嘉嘉餚已満
見色聞香意為食 忽然飽足受適悦
所味清浄無所着 事已化去須復現
晏安快楽次泥洹 是故至心頭面礼
十方仏土菩薩衆 及諸比丘生安楽
無量無数不可計 已生今生当亦然
皆曾供養無量仏 摂取百千堅固法
如是大士悉往生 是故頂礼阿弥陀
(29)
已今当の往生は
この土の衆生のみならず
十方仏土よりきたる
無量無数不可計なり
若聞阿弥陀仏号 歓喜讃仰心帰依
下至一念得大利 則為具足功徳宝
設満大千世界火 亦応直過聞仏名
聞阿弥陀不復退 是故至心稽首礼
(30)
阿弥陀仏の御名をきき
歓喜讃仰せしむれば
功徳の宝を具足して
一念大利無上なり
(31)
たとひ大千世界に
みてらん火をもすぎゆきて
仏の御名をきくひとは
ながく不退にかなふなり
神力無極阿弥陀 十方無量仏所歎
東方恒沙諸仏国 菩薩無数皆往覲
亦復供養安楽国 菩薩声聞諸大衆
聴受経法宣道化 自余九方亦如是
釈迦如来説偈頌 無量功徳故頂礼
(32)
神力無極の阿弥陀は
無量の諸仏ほめたまふ
東方恒沙の仏国より
無数の菩薩ゆきたまふ
(33)
自余の九方の仏国も
菩薩の往覲みなおなじ
釈迦牟尼如来偈をときて
無量の功徳をほめたまふ
諸来無量菩薩衆 為殖徳本致虔恭
或奏天楽歌歎仏 或頌仏恵照世間
或以天花衣供養 或覩浄土興等願
如是聖衆悉現前 蒙八梵声授仏記
一切菩薩増願行 故我頂礼婆伽婆
(34)
十方の無量菩薩衆
徳本うゑんためにとて
恭敬をいたし歌嘆す
みなひと婆伽婆を帰命せよ
聖主世尊説法時 大衆雲集七宝堂
聴仏開示咸悟入 歓喜充遍皆得道
于時四面起清風 撃動宝樹出妙響
和韻清徹過糸竹 踰於金石無倫比
天花繽紛逐香風 自然供養常不息
諸天復持天花香 百千伎楽用致敬
如是功徳三宝聚 故我運想礼講堂
(35)
七宝講堂道場樹
方便化身の浄土なり
十方来生きはもなし
講堂道場礼すべし
国土荘厳
妙土広大超数限 自然七宝所合成
仏本願力荘厳起 稽首清浄大摂受
(36)
妙土広大超数限
本願荘厳よりおこる
清浄大摂受に
稽首帰命せしむべし
世界光曜妙殊絶 適悦晏安無四時
自利他利力円満 帰命方便巧荘厳
宝地澄静平如掌 無有山川陵谷阻
若仏神力須則見 稽首不可思議尊
(37)
自利利他円満して
帰命方便巧荘厳
こころもことばもたえたれば
不可思議尊を帰命せよ
道樹高四百万里 周囲由旬有五千
枝葉布里二十万 自然衆宝所合成
月光摩尼海輪宝 衆宝之王而荘厳
周匝垂間宝瓔珞 百千万種色変異
光焔照曜超千日 無極宝網覆其上
一切荘厳随応現 稽首頂礼道場樹
微風吹樹出法音 普流十方諸仏刹
聞斯音得深法忍 至成仏道不遭苦
神力広大不可量 稽首頂礼道場樹
樹香樹色樹音声 樹触樹味及樹法
六情遇者得法忍 故我頂礼道場樹
蒙道場樹対六根 乃至成仏根清徹
音響柔順無生忍 随力浅深咸得証
此樹威徳所由来 皆是如来五種力
神力本願及満足 明了堅固究竟願
慈悲方便不可称 帰命稽首真無量
(38)
神力本願及満足
明了堅固究竟願
慈悲方便不思議なり
真無量を帰命せよ
従世帝王至六天 音楽転妙有八種
展転勝千億万倍 宝樹音麗倍亦然
復有自然妙伎楽 法音清和悦心神
哀婉雅亮超十方 故我稽首清浄楽
(39)
宝林・宝樹微妙音
自然清和の伎楽にて
哀婉雅亮すぐれたり
清浄楽を帰命せよ
七宝樹林周世界 光耀鮮明相映発
花菓枝葉更互為 稽首本願功徳聚
(40)
七宝樹林くににみつ
光耀たがひにかがやけり
華菓枝葉またおなじ
本願功徳聚を帰命せよ
清風時時吹宝樹 出五音声宮商和
微妙雅曲自然成 故我頂礼清浄勲
(41)
清風宝樹をふくときは
いつつの音声いだしつつ
宮商和して自然なり
清浄勲を礼すべし
其土広大無崖際 衆宝羅網遍覆上
金縷殊璣奇異珍 不可名宝為校飾
周匝四面垂宝鈴 調風吹動出妙法
和雅徳香常流布 聞者塵労習不起
此風触身受快楽 如比丘得滅尽定
風吹散花満仏土 随色次第不雑乱
花質柔軟列芬芳 足履其上下四指
随挙足時還如故 用訖地開没無遺
随其時節花六返 不可議報故頂礼
衆宝蓮花盈世界 一一花百千億葉
其葉光明色無量 朱紫紅緑間五色
煒燁煥爛曜日光 是故一心稽首礼
一一花中所出光 三十六百有千億
一一花中有仏身 多少亦如所出光
仏身相好如金山 一一又放百千光
普為十方説妙法 各安衆生於仏道
如是神力無辺量 故我帰命阿弥陀
(42)
一々のはなのなかよりは
三十六百千億の
光明てらしてほがらかに
いたらぬところはさらになし
(43)
一々のはなのなかよりは
三十六百千億の
仏身もひかりもひとしくて
相好金山のごとくなり
(44)
相好ごとに百千の
ひかりを十方にはなちてぞ
つねに妙法ときひろめ
衆生を仏道にいらしむる
楼閣殿堂非工造 七宝彫綺化所成
明月殊璫交露漫 各有浴池形相称
八功徳水満池中 色味香潔如甘露
黄金池者白銀沙 七宝池沙互如此
池岸香樹垂布上 栴檀芬馥常流馨
天花彩璨為映飾 水上熠燿若景雲
無漏依果難思議 是故稽首功徳蔵
(45)
七宝の宝池いさぎよく
八功徳水みちみてり
無漏の依果不思議なり
功徳蔵を帰命せよ
菩薩声聞入宝池 随意浅深如所欲
若須灌身自然注 欲令旋復水尋還
調和冷暖無不称 神開体悦蕩心垢
清明澄潔若無形 宝沙映徹如不深
澹淡廻転相注灌 嬋約容予和人神
微波無量出妙響 随其所応聞法語
或聞三宝之妙章 或聞寂静空無我
或聞無量波羅密 力不共法諸通恵
或聞無作無生忍 乃至甘露灌頂法
随根性欲皆歓喜 順三宝相真実義
菩薩声聞所行道 於是一切悉具聞
三塗苦難名永閉 但有自然快楽音
是故其国号安楽 頭面頂礼無極尊
(46)
三塗苦難ながくとぢ
但有自然快楽音
このゆゑ安楽となづけたり
無極尊を帰命せよ
本師龍樹摩訶薩 誕形像始理頽綱
関閉邪扇開正轍 是閻浮提一切眼
伏承尊悟歓喜地 帰阿弥陀生安楽
譬如竜動雲必随 閻浮提放百卉舒
南無慈悲龍樹尊 至心帰命頭面礼
結讃
我従無始循三界 為虚妄輪所廻転
一念一時所造業 足繋六道滞三塗
唯願慈光護念我 令我不失菩提心
我讃仏恵功徳音 願聞十方諸有縁
欲得往生安楽者 普皆如意無障礙
所有功徳若大少 廻施一切共往生
南無不可思議光 一心帰命稽首礼
十方三世無量恵 同乗一如号正覚
二智円満道平等 摂化随縁故若干
我帰阿弥陀浄土 即是帰命諸仏国
我以一心讃一仏 願遍十方無礙人
如是十方無量仏 咸各至心頭面礼
(47)
十方三世の無量慧
おなじく一如に乗じてぞ
二智円満道平等
摂化随縁不思議なり
(48)
弥陀の浄土に帰しぬれば
すなはち諸仏に帰するなり
一心をもちて一仏を
ほむるは無碍人をほむるなり
(50)
仏慧功徳をほめしめて
十方の有縁にきかしめん
信心すでにえんひとは
つねに仏恩報ずべし
讃阿弥陀仏偈
讃一百九十五 礼五十一拝
讃阿弥陀仏偈